写真と言葉森山 大道

Works and Words by DAIDO MORIYAMA

優れた写真家というだけでなく優れた文章家であり語り手でもある森山大道氏。
このページは黒と白カレーのパッケージになったもとの写真と、印刷媒体を通じてこれまでに発表された森山氏の文章や言葉の一部を抜粋して再構成したものです。

まるで夢を見るようにパリを想った少年時代。アッジェのパリの写真に教えられた青年期。そしてせかされるままにパリへアパートを捜しに出かけた十年前。いったいパリとはぼくにとって何なのだろうかと、ときおり苦笑まじりに考える。そして思い当たるいくつかとともに、結局、若い日のハシカのごとき“芸術”への目覚めだったことを知る。つまり、花の都パリは、そのままぼくの芸術への憧憬の全体であり、相対的に、ぼくの芸術への渇望の実態だった。その意味で、ぼくの写真の故郷の四分の一は、パリの街にあるのかもしれない。

出典:フォト・エッセイ集『犬の記憶 終章』朝日新聞社(1998/8/1)p.11
初出:週刊「アサヒグラフ」朝日新聞社1997年の連載 ”犬の記憶 終章”

Text and Photo by DAIDO MORIYAMA
©DAIDO MORIYAMA PHOTO FOUNDATION

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