写真と言葉森山 大道

Works and Words by DAIDO MORIYAMA

優れた写真家というだけでなく優れた文章家であり語り手でもある森山大道氏。
このページは黒と白カレーのパッケージになったもとの写真と、印刷媒体を通じてこれまでに発表された森山氏の文章や言葉の一部を抜粋して再構成したものです。

ぼくにとってのコンビニは、単にリセットのための遊び場というだけでなく、食の駆け込み寺、それなりに大事なライフラインとなっている。要するに、おにぎりとカップ麺とレトルト品とで日々組むローテーションが、ぼくの食のほぼ大半といっていい。外食にしても、カレー、チャーハン、ハンバーグという、昭和三十年代学生食堂の域から一歩も出ていないし、ラーメンもインスタントが好きである。ついでに申せば、おでん、焼き鳥、焼き肉、寿司、と、日本のおやじたちが好むメニューとも相性が悪く、全くだめとは言わないまでも、まれに仕方なくつき合う程度。つまり話をトータルすれば、他人さまと高級レストランや寿司屋で大そうなものを食べるよりも、ひとり自室でコンビニ食をぼそぼそ食べてテレビでも眺めている方がはるかにうまいというわけだ。

出典:フォト・エッセイ集「もうひとつの国へ」朝日新聞社(2008/9/30)
初出:“食について”(2007年12月)

Text and Photo by DAIDO MORIYAMA
©DAIDO MORIYAMA PHOTO FOUNDATION

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