写真と言葉森山 大道

Works and Words by DAIDO MORIYAMA

優れた写真家というだけでなく優れた文章家であり語り手でもある森山大道氏。
このページは黒と白カレーのパッケージになったもとの写真と、印刷媒体を通じてこれまでに発表された森山氏の文章や言葉の一部を抜粋して再構成したものです。

酒場では、2/4ビートのリズムに乗って、女と男の脚が絡まり合い、冷えた石畳を匍うように、バンドネオンの音色が漂う。
暗がりに屯ろするビーシャの若者たちの、鋭く光る視線の向うに、 ラプラタ河に架かる旧く巨きな橋のシルエットが映る。
港町ボカの夜は、限りなくセクシーでワイルドな匂いがたちこめていた。
ぼくのかつての、憧憬の彼方に在った街、叙事と叙情がクロスする町、心の裡なるブエノスアイレス。

出典:写真集『BUENOS AIRES』【新装版】講談社(2009/7/23)
初出:同

Text and Photo by DAIDO MORIYAMA
©DAIDO MORIYAMA PHOTO FOUNDATION

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