写真と言葉森山 大道

Works and Words by DAIDO MORIYAMA

優れた写真家というだけでなく優れた文章家であり語り手でもある森山大道氏。
このページは黒と白カレーのパッケージになったもとの写真と、印刷媒体を通じてこれまでに発表された森山氏の文章や言葉の一部を抜粋して再構成したものです。

一年まえ、ぼくは一寸体調を崩して池袋から逗子(神奈川県)の自宅に戻り、しばしの休息のつもりで日々を過ごしつつ、日課のカメラ散歩をつづけてきた。地元の逗子の町はもとより、左右海続きの葉山や鎌倉の町々もその歩くコースに入っていた。
そして、そんな湘南の景色に、かつての中平卓馬のとぼくとの日々の記憶が甦ってくる。現在(いま)の実景と在りし日の風景とが心のなかでオーバーラップされて、さらなるもう一つの時間が官能されてくるのだ。そして友人でありライバルであった中平卓馬へ向けて送るこれら数々のイメージは、記憶という名の一冊の実質となって、残されて行ってほしい。

出典:写真集『Nへの手紙』月曜社(2021//)

Text and Photo by DAIDO MORIYAMA
©DAIDO MORIYAMA PHOTO FOUNDATION

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